totojp’s blog 教育言いたい放題

若い先生方に読んで欲しくて書いています

入試後の学年集会の話

入試が終り,卒業式までに,こんな話をしました。

 

  この時期に,毎年,私が感じることは,「全員の進路が決まって卒業させたい」ということです。したがって,結果が出ておらず,まだ心の中にわだかまりのある人もいることでしょう。でも,頭を切り替えてください。学校全体はみんな協力して,君たちの卒業に向けて動いてくれます。その気持ちに答えられるような君たちになって欲しいと思います。

今日はちょっと長い話になるかもしれません。ある生徒の話です。

 彼を2年から担任しました。そのとき,彼は1年生のときから教室に入れず,校内の中間教室に登校していました。1年間ずっと空き時間を使って,彼のところに数学を教えに行きました。1年たって教室に戻ろうという話になりました。教室に入らなくても,勉強は好きで勉強はできました。「もしかすれば教室に戻れば,今よりも点数は落ちるかもしれない。でも、中学校で人とかかわる力をつけずに中学校を卒業することは,将来の君のためにならないから」と話をしました。

 そう言ったときに,彼から返ってきたことばは「○○君がいつもちょっかいを出してくるので心配だ」と言いました。相手の生徒は母親が外国の方でした。「日本語が得意でなく,コミュニケーション能力が低いんだよ,だから君にちょっかいを出すのも,いじめたいからではなく,君と仲良くなりたいからじゃないの?」と話しました。これをきっかけに彼は変わりました。

 お昼の放送で流していたSEKAI NO OWARIの「Dragon Nightではないけれど,「僕の嫌いな『彼』も,彼なりに理由があると思うんだ」です。彼なりの理由があると分かったんだと思います。

 疲れたり,休みたかったら別室に行ってもよいということでスタートしたのですが,3年の1年間ずっと教室で過ごしました。そして,彼は高校・大学へと進学していきました。そして,ある時ですが彼が留学することを知りました。場所は中国です。

 実は中国は彼を教えていたときに,私は中国に行くことがあり,時間があると旅と中国の話を彼にしていました。SNSの彼の投稿は,日本語をすべて中国語に訳してありました。ちょうどあの頃,私は中国語を自分で勉強していました。これからは日本語と英語と中国語ができたらいいよという話もしていました。  

 今,彼は社会人として活躍しています。悪いときを分かっているから,彼は強いだろうと思っています。ここで,一つ目君たちに言いたいことは,入試の結果もちろんうまくいかない人も出てくるかもしれません。でも,人生はそこでストップではないので,そこからどう経験を生かすかが大切だということです。

 さて、私も今君たちの前で自信を持って立つことができているのですが,支えてくれるものがいくつかあります。彼も私を支えてくれているもの一人です。「なにくそ生徒に負けるわけにはいかんぞ」と私もちょっと余裕ができたら,また中国語にチャレンジしたいと思っています。