1年文字の式 こんな授業を単元の導入に行います
1年の文字の式で重要な場面は単元の導入だと考えています。ここで紹介する場面は,それこそ三十数年前,退職間近の先輩の先生から教えていただいた場面です。三十数年たって未だに同じ場面を扱っているのは,「どうなのか?」と言われる方がおられるかと思いますが,数学は人類が積み重ねてきた文化です。したがって,何年たっても変わらないのです。したがって,いい指導法は今も変わらずいいのではないかと思います。
下のようにマッチ棒をつなげて正方形を書いていきます。
10個正方形をつくるには,マッチ棒の数は何本必要ですか?と問います。しばらくすれば31本と答えるでしょう。それでは100個だったら何本必要かなと問います。301本と答えたら,どんな方法で出したと聞きます。
① 1+3×100
② 3×100+ 1
③ 4+3×99
④ 4×100-99
⑤ 100×2+101
などが出てきます。発表させると同時にどのように計算したのか図で確認することがいいでしょう。
1+3×100
100は正方形の数を表していることを確認し,マッチ棒の個数は1+3×(正方形の数)で表されることをおさえます。
それでは,他の場合でもマッチ棒の個数を(正方形の数)ということばを使って表せないかなと問い、個人追究させます。このとき,②と①は交換法則を使えば同じ式なのですが,ここでの簡単な練習問題になります。
99が(正方形の数-1)に気づくことなど,なかなかハードルが高いと思います。そして,ことばの式ができたところで,正方形の数をaとして,マッチ棒の数を表そうと言います。
すべての式が出たところで
① 1+3×a ② 3×a+1 ③ 4+3×(a-1) ④ 4×a-(a-1) ⑤ a×2+ (a+1)
「いろいろな式が出てきたね。でも,この単元を学習していくとすべてが同じ式で表されることがわかります」と言って授業を終わりにします。もちろんここで代入も扱えないことはないが,自分としては盛り込みすぎと考えます。
さて,現行の教科書もほぼこれに近い入り方をしているかなと思います。しかし,この導入をするようになってきたのは,前々回の教科書からです(?)私が二十台でこの授業のレポートをもって若い先生対象の研究会に出たところ,当時四十代の指導者はこのレポートの価値を分かっていなかった。ようやく時代が追い付いてきたような気がします。そう考えると私が若い頃の退職間近の先生方はすごかったように感じます。やはり数学の現代化の時代に授業をやってきた先生方は違います。