totojp’s blog 教育言いたい放題

若い先生方に読んで欲しくて書いています

体罰教師はつくられる 〜映画「怪物」を観て〜

番組の宣伝にのせられて映画「怪物」を観てきました。三者の視点で描かれているという点に興味を持ちました。子供たちの演技がよかったなあと思います。難しい役どころですが,いい演技でした。

ネットの感想を読むと,学校の対応についてさすがにあれはないという感想が寄せられていました。私も「校長が帰ってしまう」,「飴をなめる」など,確かにあそこまで対応はひどくはないと思いますが,しかし無実の教師がいつの間にか体罰教師になってしまう事例はありえると思っています。

 今の世の中はンモンスターペアレンツをもちろんのこと,子供が不平不満を言ったら子供の勝ち,親の勝ちになってしまいます。いつからこんな世の中になってしまったのだろう。昔の同僚からの話です。こんなことがあったそうです。彼が教えている情緒障害学級の子の母親が担任教師にLINEで「授業が早いと子供が泣いている」と連絡してきたそうです。そして,担任教師は彼に,「ああいう子たちだから,ゆっくり繰り返し,繰り返し教えてくれ」と言ってきたそうです。彼は「ビックリです」。なぜならクラスは2人を教えており,同時に同じ内容を教えていることはなく,完全個別で行っています。私同様に数学などは学力差があるので,なるべく個別で進めるべきだと考えているそうです。

 したがって,彼にすれば「授業が早いということはありえないのです」。そこで,以前も教室に入っていただいたサポートの(女性の)先生に教室に入ってもらったそうです。入っていただくと,本人は喜んで学習に取り組んだそうです。不平を言った生徒は簡単に言うと,本人の望みは細かく世話を焼いてもらいたいということだったようです。

 彼のように,自分としてはまともにやっているのに,生徒が不平不満を言うと,周りの教師や管理職は状況を確かめもせずに生徒の側についてしまう。したがって,今の時代は安易に体罰教師や暴言教師ができあがりやすい。私なんかは,この状況で教育は可能なのかと疑問を持たざるを得ない。 

 人を育てるためには,父性と母性の両方が必要である。また,生徒には負荷をかけないと育ちは期待できない。昭和のような教師中心の世界に戻せとは言わないが,せめて生徒も教師も平等に扱って欲しい。生徒様では教育は成立しない。