中学校1学年 第1回学年PTAでの学年主任の話
入学して1ヶ月が経ちました。生徒たちはオリエンテーションや学年レクなどを通して,徐々に学校にも慣れてきたかと思います。先日の金曜日には入部届けもでました。宿題も始ってきました。そして,連休後にはテスト範囲も配られ,初めての定期テストも経験します。そこで,おおよそ中学校の生活を知り,ようやく中学生になったと言えるのかもしれません。
この1ヶ月の生徒たちの様子を見ていて,いろんなところで前向きに中学校生活をがんばろうとする生徒の姿が見られています。学校生活の基本である掃除では無言で手ぬぐいをかぶり取り組む姿,給食では友だちと声を掛け合って,取り組む姿も見られています。新しい仲間との間でトラブルが起こりがちなのですが,新しい友達関係のことで問題は起こっていません。
若干,気になっているのは場に応じた言葉遣いということです。悪気はないのでしょうが,こちらがびっくりするようなことばで話しかけてくる生徒もいます。生徒にとっては初めての新しい友達作りのときかと思います。人との距離感をつかめずに,ことばでよい仲間づくりで失敗しないか,危惧しています。この点をこれからの1番の課題にしていきたいと思います。
さて,子供たちには最初の学年集会で,「自立」という話をしてきました。
名古屋大学名誉教授の安彦忠彦先生,日本のカリキュラム研究では第一人者です。先生が退官されるときおっしゃったことばは「環境問題」,「自立」,公教育の「私教育化」。環境教育は待ったなし,もうひとつは教育の究極の目的はいっちょまえにすること,「自立」だと言われました。
今年の3月に卒業させました。その中で,進路を拓いていった生徒たちの姿で私に一番教えてくれたことは,それは自立の階段はだれもが上らなければならないということです。歩みを遅くしたり,道筋を変えることはできるが,自立の階段は上らなければいけない。それは中学校が最終目的を高校入試等の進路を拓くことである限り,必要な条件だと教えてくれました。
公教育の私教育化とは学校が公教育でなく,塾や家庭教師のように私教育になっていないだろうかということです。なかなか含みのあることばでした。
もうひとつ卒業した保護者の方から教えられたことがあります。それは前にもいわれたことがあるのですが,「中学生の保護者というものは子供の成長とともに,親も成長していかないといけないんですね」と教えていただきました。
教師の私たちも同じなのだと思います。生徒たちによって私たちは教師にしてもらっているのだと思います。子供たち中学校生活は始ったばかりです。共に子供たちともに我々も成長していきましょう。
*もう5年ほどの前に話したことですが,「保護者も子供とともに成長」が分かってくれる親は少なくなってきているでしょう。
3つ以上の加法減法(1年 正の数・負の数 第10時)
交換法則,結合法則
最初にトランプを掲示して,合計点数を計算させます。合計点数は(♣4)のカード(♦4)が0になり,(♠3)のカード(♥3)が0をつくる。(♦1)と(♠5)で4になることを確認する。
計算は左から計算するが,加法はどこから計算してよいことをおさえ,結合法則を教える。また,カードを交換してもよいことをおさえて。交換法則を教えます。
交換法則,結合法則ともにトランプを利用すると理解しやすいです。私は今年度は代数和を扱う前に指導しました。また,減法を加法に変える場面ですが,式からトランプの操作を考えさせましたが,今年度はトランプの操作を先に示して,これを式にしたらどうなるかなと問いました。生徒の実態を見ながら,トランプを上手に利用しましょう。
3つ以上の加法減法
次に合計の求め方,式表せばどうなるかと考えさせます。
-1-3+4-4+3+5
=-1+3-3+4-4+5
=-1+5=4
生徒の追究から項の和の式で計算しているものも板書させるといいでしょう。正確にはやくできるなら,どう計算してもよいことを確認します。また,中学校では途中式を書くので,計算を縦に書いていくことをここで指導しましょう。
そして,「-16―(―24)+4+(-14)」を途中式を書かせ計算させます。生徒のいろいろな計算を紹介し,どの計算方法が簡単か考えさせましょう。
私の学校は啓林館を使っているので,この後教科書の-3+9-5-9の2つの計算方法を説明させます。ここはきちんと書かせるのがよいでしょう。また,方法の説明は使うものと使い方を説明することを機会があるたびに,指導しましょう。
そして,この時間は計算練習をじっくりとさせましょう。
代数和(1年 正の数・負の数 第9時)の授業
この時間は代数和を学びます。トランプゲームでは合計点数は常に代数和で計算しているので,ここはトランプで指導しているよさがでる場面です。教科書は3つの以上の項のときに,これを扱っていますが,交換法則や結合法則を使って計算するなど,項が2つのときとはギャップが大きいです。そこで,代数和は2項のみで1時間扱います。
加法や減法で利用したプリントの問題を示して,
(-3)+(+2)
「この中で答えを求めるのに,いらない情報があるね?」と問います。「+(たす)」ことが分かっていれば,+はいらない事に気づきます。そしてトランプで♥3と♠2を黒板に貼り,点数を考えるときに,+を考えていないことを確認します。
そして,
(-3)+(+2)=-3+2
項の和の式 代数和の式
+とかっこは省略することを教えます。
さらに,(+3)+(ー2)は「代数和にするとどうなるかな?」と問います。すると +3ー2 と答えてくるので,式の最初の+(プラス)はこれもつけなくても正の数であることが分かるので,省略し3ー2と表すことを指導します。
読み方について
3ー2は「どう読みますか」と問います。3マイナス2,3引く2のどちらも読めることを確認し,これからはー(マイナス)と読むことを確認します。
この指導を1年でしてあるかどうかで,2,3年の授業が変わります。2年3年から受けもったクラスで「ー(ひく)」と発言する生徒がいます。これは代数和が理解できていないのだと思います。(おそらく生徒だけではなく,担当の教師も理解できていないのだと思いますが・・・。)私は代数和という言葉を授業中使いますが,もちろん教科書にはない言葉で覚えなくてもよい言葉であることを教えます。しかし,代数和は教科書に載せたほうがよい言葉だと考えています。
ちょっと脱線します
1年生で「一次方程式」という言葉を教えます。これは必要ないうのではないかと私は考えています。それは,次数は2年生になって教えるのに,「一次方程式」という言葉だけ教えるのは意味のないことだと思います。要するに「方程式」だけで十分と考えています。一次方程式という言葉は,1次関数と同じように,次数を学習した後に教えればよいと思います。
そして授業は,3ー5,ー4ー2,ー5ー(ー3)などの問題の意味を確認し,項が2つの場合の代数和の計算を練習します。
代数和になっても,今までと同様に計算できれば,この時間はOKです。
正の数・負の数の減法②「減法を加法に変える」 (1年 正の数・負の数 第8時)
この時間は「減法を加法に変えることです」。ここは数直線でやっても指導が難しいところです。
まず,(+3)-(-5)と板書し,トランプでこの計算を説明するとどうなるかなと問い確認します。そして,「持ち点は-5小さくなる」と板書します。
今日は減法を加法に変えることだったよねと確認し,先ほどの横に
(+3)-(-5)=(+3)+( )
( )の中にどんな数が入るかな。+5とすぐに答えが返ってきます。そこで,「どうして?」と説明を求めます。
子どもたちは以下のように説明するでしょう。
① 「反数を持ってくることになる」からと説明する生徒
-(-5)を引くことは,(-5)のカードをなくすこと,0にすることなので,(+5)のカードを持ってくることと同じ。
② 「持ち点は-5小さくなる」→「持ち点は+5大きくなる」になるからと説明する生徒
「-5小さくなる」の5小さくなるの反対だから,「持ち点は+5大きくなる」になる。
③ (+5)のカードが生きてくるからと説明する生徒
持ち点は(+5)と(-5)で0になっているが,(-5)が取られることで,+5のカードが生きてくるので,+(+5)になる。
どんな説明でも構わないので,生徒がどんな説明でも自分の頭の中で納得できる説明になればOKです。いろんな説明を発言させて認めましょう。また,ここで教師が説明しても生徒はその場は納得したとしても理解しません。じっくり待ちの姿勢が必要なときもあります。
生徒が納得したようならば,次のような減法を加法に変える問題を出します。
(!)(+6)-(-4)=(+6)+( )
(2)(ー2)-(+3)=(ー2)+( )
(3)(ー6)-(-7)=(ー6)+( )
(4)(+7)-(+9)=(+7)+( )
追究は最初からグループして,説明しあいなさいと指示することがいいでしょう。
全体追究で発表させた後,減法を加法に変えるにはどうするのか?生徒のことばでまとめさせます。生徒に発表させたあと,「負の数があれば,引き算いらなくなちゃったね」とつぶやきます。その後,加法で使ったプリントを今度はー(ひく)を書かせて,練習させ,授業終了です。
さて,ここまでの指導で抜けているのは,分数・小数などを含んだ計算です。加法・減法の計算を指導することが重要なので,正直,じゃまです。生徒の様子を見ながら時間を確保してください。ちなみに私は今年は宿題でやるように指示しました。
正の数・負の数の減法①(1年 正の数・負の数 第7時)
加法のテストを前時同様に行います。時間が早くなったことを褒めるなど,努力を認めることが大切です。
そして,トランプを操作し,カードを取る操作と(+3),(ー3)など,絶対値が等しく符号が違う数の和は,0になることを抑える。加法を学習したので,本時は減法について扱うことを伝えます。
減法の式をつくることを伝え,前々時と同様にトランプとことばで表すことも確認します。トランプゲームで減法は「取られた場合」であることを確認し,問題を提示する。
問題
トランプゲームでカードを取られた場合を考えて,正の数・負の数の減法の式をつくろう。頭に浮かべた図・ことばを書くこと。
前回と同じように書けば良いことを確認し,個人追究→グループ追究をさせる。グループでの追究は目的をはっきりさせることが大切です。本時の場合は,減法はこの段階ではイメージが頭に中で描けないので,答えを間違えることが多いです。したがって,答えを確認することとグループの中で発表させる人を決めさせるのがよいでしょう。また,個人追究ではイメージが持てない生徒にはトランプを貸して,答えから引く数を考えさせるなどの手立てが必要です。
そして,全体追究です。ここでの発表では,友だちの発表が納得できるかどうか確認し,(+)のカードは取られると,持ち点の合計は減ること。(ー)のカードは取られると,持ち点の合計は増えることを確認する。
そして,「減法は難しいね」と言い。次回は減法を加法に変えることを学習することを伝えて授業を終了させる。
正の数・負の数の加法②(1年 正の数・負の数 第6時)
前回加法についての式とトランプとことばをつなげて,シェーマを作りました。そこで,この時間は加法の計算の仕方に気づかせる事です。そこで,今日の目的が加法の決まりを見つけることだとはっきりさせ,まず,前時一人ひとりの生徒に書かせた式を黒板に貼らせます。そして,「分かりずらいね」と言って,分類できないか問います。
周りと相談させながら,(+)+(+),(+)+(ー),(ー)+(+),(ー)+(ー)と分類してくるでしょう。いろいろ試行錯誤しても,最終的にはこれに落ち着きます。
(+)+(+)の式に注目させ,
(+2)+(+5)=+7
符号は+,絶対値は絶対値の和であることを確認します。そして,「(+)+(ー)は,どうなるかな?」と問い,符号は絶対値鵜の大きい方の符号,絶対値は絶対値の差になっていること確認します。
それでは,(ー)+(+),(ー)+(ー)と個人追究→グループ追究の順で追究させます。
全体追究で発表させたあと,教科書を開かせ加法のきまりについておさえます。ここで,教科書と表現は違うけど,同じことをみんなで気づいたことを確認すること。また,ここまで教科書と違う方法で教えているので,同じことをやっているんだよという安心感を与えることが大切です。
そして,次のようなプリントを配ります。(下線部は空欄です。)
正の数・負の数の計算
(1) (+5)_(+3) (2)(+4)_(ー2)
(*プリントは,以下,同様に40問の問題が書いてあります。)
下線部に+(たす)を書かせ,きまりで答えを求めることを確認した後に練習させます。このとき,ポイントは時間を計ることです。私は書画カメラでスマホを写し,時間を計っています。また,このプリントの良いところは(ー)を入れると引き算になることもあるが,代数和を指導するときに,+(たす)は計算するときに考えていなことを,このプリントで説明できます。
裏面にもじ問題を印刷して,宿題で練習してくるように指示し,次回もテストするので,「目標を達成できるように練習してこよう」と宿題を指示し,授業を終了する。