2年 式の計算の導入 その2 導入の授業について書きます
さて,話をようやく元に戻します。2年の「式の計算」の導入です。ここで扱うことは文字を使うよさです。私はこんなふうに導入しています。
まず,「式の計算」と板書して,その下に「⚪︎いつでも言えることを説明する」と板書します。そして,下のような枠をノートの1/6~1/8程度で書かせます。
”数学を学ぶ”においての基本は機会がある度に教える
ちなみにですが,最近私はこのように板書しています。今日学習することのタイトルを書き,今日の学習活動などがわかるものを書きます。どうしてそう板書するのかというとメリハリをつけるためです。またまた,脱線しました。
そして,枠の⚪︎印に適当な数を入れることを指示します。このとき,あまり値の大きな数を入れない事もつけ加えます。また入れさせたあとに,よく「数学でいう適当は日常生活での適当とちょっと違います」という話をします。要するに「ランダム」の話なのですが,このとき結構,同じ数を書いてきたり,連続した数を書いてきます。そういう数は特殊だと話をします。”数学を学ぶ”においての基本的な話なので,こういう機会に指導したいですね。
そして,⚪︎に書いた数を縦横に足させて,答えを▫︎に書くように言います。さらに▫︎を縦横に足させて,三角形のところに書くように指示します。
なぜを問う
「どうなった?」と問うと「同じになった」という子が出てきます。みんな同じになったかな?周りを確かめてください」と言います。値が同じにならない生徒もいると思います。そういう生徒も近くで確かめたり,生徒と一緒になって確認します。そして,みんなが同じなることを確認したら,「どうしていつでも同じになることを説明しよう」と言って,個人追究をさせます。
追究させると,「みんな足していることになるから」と答えてくる生徒がいます。そういう生徒が出てきたら,「へ-,どうして?」とさらに説明を求めます。しばらくすると以下のような計算を書いてくる生徒が出てきます。出てこない場合は,計算等している生徒にアドバイスしてください。「もっと詳しく書こう」などの助言をすれば,出てきます。また,この時点で「周りと相談してもいいよ」と話します。
(4つの数字が7,2,8,5の場合)
(7+2)+(8+5) (7+8)+(2+5)
=7+2+8+5 =7+8+2+5
=7+2+8+5
板書をさせて説明させます。そして,「納得できる?」と聞きます。かなりの場合,納得できる生徒がたくさん出てきます。頭を傾げている生徒には周りと相談せてください。そこで,タイミングを見計らって,「先生は納得できないなあ」と呟きます。「今日,説明することはいつでもなんだよね」と言って,板書を示し,そして確かに,「7,2,8,5の場合」の場合は,説明できたけれど,いつでも言えることを説明したことになるかな?」と言います。そして,いつでも言えることを説明するにはどうしたらいいだろうと問います。
目的を教師自身が肝に据えておく
ここで学級によって差が出てきます。
もう既に文字で説明しようとしている。生徒がいる場合は,「何使って説明しようとしている」と言って,このときに発言させます。文字を使っている生徒がいない場合は,最初に黒板に式の計算と書いてあるので,黒板を見てみなさいと言ったこともあります。また,もう一度個の追究に戻すこともよいでしょう。
ここで重要なことは,今日は「文字を使うことのよさを教える授業なんだよ」という目的を教師自身が肝に据えておくこと。あとはそれめがけて,生徒の考えを引き出していくことです。
文字の置き方や数で計算したことをそのまま文字で表してみることなど,生徒の様子を見ながら支援します。文字で説明できた生徒には板書させましょう。(私はこういう場合は書画カメラを利用しますが・・・。)そして,文字を使って説明するとどしていつでも言えることになるのと聞くと,「代入すればいいから」などと答えるはずです。
そうだね。数を使うと無限に説明しなきゃいけないんだけど。文字ではその必要がないんだね。「君たちは文字を使って,無限のことを説明できることになるんだね」と話をします。
発展的に扱うためには問題変え
ここまで来れば良いのですが,時間があれば問題変えです。+をーにしたり,マスの数を3×3などにするのもいいでしょう。その昔は優秀な生徒は発展した内容についてレポートを書いてきました。
実はこの問題若い頃はーでやっていました。しかし,()を外す計算があまり生徒ができないため,あるときから+に変えました。1年間の最初に考えさせる授業です。ここでハードルが高すぎるのも厳しかろうと考え,+にしました。+でも十分生徒に考えさせます。目的さえはっきりしていれば手立ては柔軟にすべきですね。
最後に
特別支援の生徒を教えるときに,この授業を文字式の利用の最初にもっていったこともあります。式の計算の利用の授業については,また書こうと思いますが,2年の最初で文字について考えさせることは単元全体の見通しを持つためにも大切だと思います。